■やっぱり!ゴアテックス



■低体温症は、凍死の一歩手前
雨具を選ぶ前に登山用雨具の役割をまず理解していただきたい。
雨具と一言でいえば雨で衣服や身体が濡れることを防ぐ道具ということになります。日常生活では、多少雨に濡れたとしても、それが生命に影響を及ぼすことはめったにありません。生活圏内では、人工的な屋内で雨宿りができたり、乾いた衣服に着替えることもでき、また暖房設備により乾かすこともできます。これにより容易に体温の低下を免れることができるのです。
『夏山で疲労凍死』というニュースを新聞やニュースで見たことはないでしょうか?『凍死』というと冬山での出来事のように聞こえますが、自然のフィールドではたとえ季節は夏であっても珍しいことではありません。
凍死は体温の低下が原因でおこります。体温を低下させる要因として、寒冷にさらされて体温が低下する場合と、濡れにより体温が低下する場合があります。人間の身体は、中心体温(内部の体温)が正常な状態で、36.5度を維持しようとする働きがあり、寒いとふるえがくるのはその働きのせいです。中心体温が、下がりだすと、はじめはさむけに対してふるえが起こります。35度以下になると『低体温症』の状態になります。低体温症に陥ると、体温は低下し続け、判断力が低下し、意識障害がおこり、眠気がでてきます。中心体温が30度以下になると震えが止まり、仮死状態にいたり凍死します。
いったん低体温症に陥ると安静にしていても大量のエネルギーを消費し、衰弱していきます。よほどの環境の変化がない限り低体温症から脱出することはできません。そのため登山中に低体温症にならないための予防を心がける必要があります。
まず、身体を寒冷にさらさない事。そして身体を濡らさないこと。濡れには、雨・雪・みぞれなど外からのものと、汗をかく、蒸れる内からのものがあります。身体が濡れると体表面から気化熱が奪われていき体温低下を招きます。
たとえ夏であっても雨の日に濡れてしまうと予想以上に体力を奪われてることになります。道に迷ったり、何かのトラブルが原因で山で一夜を過ごさなければならない場合もあります。登山用の雨具は、内外の濡れと、寒冷を防ぐ重要な役割をするのです。

■雨具選びが、『生』『死』の分かれめ
雨具に使われている防水生地には、無透湿素材と、透湿素材があります。無透湿素材は、ビニール・ゴム引き・ハイパロンなど雨は防いでくれても体内から出る水蒸気は外に出してはくれません。汗や蒸気で内側に水滴が付き結局びっしょり濡れてしまい、数時間歩いていると雨具を着ていないのとあまり変わらない程です。
透湿素材は、雨を防いで中からの水蒸気は外に発散し、防風性にも優れています。無透湿素材より透湿素材の方が、はるかに濡れにくいため、安全性が高く快適ということになります。
透湿素材は、蒸れを防ぎますが全く蒸れないというわけではありません。外気温が高い時や激しい運動で大量の汗をかいた時は、濡れる場合があります。
経験のある登山者は、速乾性の薄い衣服を重ね着し、体温が上がれば服を脱ぎ、体温が下がれば服を身に付けることにより体温調節と濡れないための工夫をしています。
『透湿素材の雨具』と『無透湿素材の雨具』どちらを選ぶかによって場合によっては、生死のわかれめになるのです。

■ゴアテックス GORE-TEX
ゴアテックスとは、風と水滴を透さず、水蒸気は透す特殊なフィルムを、ナイロン生地などに貼り付けて作られた防風・防水・透湿性素材のことで、登山には限らず、あらゆるフィールドでのアウターウエアーとして幅広く使用されています。 ゴアテックスを使用した製品は、ゴアテックス社が設けた高い品質基準に到達した、工場や製造メーカーにしか、ゴアテックス生地の使用が認められていません。あらゆる製品は、デザインや構造について、製品前のサンプル段階でゴアテックス社による厳しいテストが義務付けられています。そのテストに合格した物のみ製品化されます。
ゴアテックスレインウエアーは、生地の性能・縫製技術・デザイン・構造までを、生地メーカー・縫製工場・製造メーカーが連帯し、本モノづくりへの徹底したこだわりとノウハウが備えられています。 より軽量で、コンパクト、透湿性と保温性のバランス、撥水加工、耐久性などの改良が進み、トータルバランスはかなりハイレベルに達しています。
ゴアテックスレインウエアーは、3万円前後からそれ以上で各社で販売されています。『透湿素材』と書かれたレインウエアーで、1万円前後か、それ以下で販売されているモノが数多く出回っています。中には、確かに透湿性はあるけども『微透湿』と書いてほしいものもあります。 ゴアテックス製のレインウエアーは、高価ですが、雨に降られたときや、寒風にさらされた時に、価格以上の快適性と、安心感の価値があります。ぼくは、ゴアテックスレインウエア無しで山に入ることは、信じられません。






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