登山靴と山岳テント専門店 バックカントリー穂高


Aug.2007
8月31日 ()
8月に入りようやく梅雨前線が日本付近の気圧配置から姿を消した8月の梅雨明けから、夏が過ぎ、もう秋雨前線が日本列島に忍び寄ってきた。今日は、朝から日本海側を通過する前線の影響で、ときどき強い雨が降る湿気ったお天気。島根県から、このホームページをご覧になられてお弁当のご注文をいただいたHさん3人組は、雨の燕岳登山に向われた。今日から2泊3日で燕岳から常念岳へ縦走する予定だったMさん達は、今朝早々に中止にしたというご連絡をいただいた。登山というものは自然相手のスポーツである以上、天候というものは、無視することはできない。すべて自己責任において出発するか、中止にするか、途中で撤退するかを、判断しなければならない。その結果、判断とは別の天候になったとしても、判断どおりの天候になったとしても、それは結果論であり、事故をおこさなかった限り、どちらの判断でも正解なのである。
この雨なら行ける。と判断できたときには、行けばいい。自信がなければ中止にすればいい。

キャメルバック・ハイドレーションシステムについてお問い合わせをいただいた。その内容は、匂いに関することだった。ハイドレーションはナイロン製の袋から、チューブを通ってバルブから水を飲むシステムで、新品のうちは、中の水に少し、ナイロンの匂いがついてしまう。ひと昔前は、その匂いがとても不快で、いつまでも取れなかったが、現在は改善され、その匂いは、使用しているうちになくなっていくようになった。キャメルバックは、専用のお掃除ブラシなどオプションも用意されているので、フタも大きく、簡単に掃除ができる。今日、キャメルバックアンボトル2.0リットルをご購入されたOさんにも、匂いのことや掃除の仕方など、詳しくご説明させていただいた。



8月30日 ()
約2ヶ月ぶりに、山岸くんがヨーロッパでのガイド生活から帰ってきた。2ヶ月間のあいだ、フランスのとある街で、アパートをかりて現地のガイドをしながら生活していた。午前中だけお店に来たとき、いろいろヨーロッパ事情を興味深く聞いた。なかでも、フランスのアイダー社が、日本の代理店を近々代えるという情報にはびっくり。
そして、さっそくではあるが、BC穂高で来年企画するヨーロッパトレッキングツアーと、ネパールトレッキングツアーの打ち合わせをした。時期は、ヨーロッパは花のきれいな7月。ネパールは、暑さがおちついた11月。ということで、おおまかな日程をきめた。BC穂高で、初の海外ガイドツアーとなる。もちろん山岸くんが、現地をご案内する。サポートは、A旅行会社で、できる限り予算を抑えて、現地で楽しめる企画にしたい。計画がまとまればこのホームページでも募集する予定です。



8月29日 ()
ぼくが、カモシカスポーツに勤めていたとき、テントをご購入されると、必ずと言っていいほど、検張り(けんぱり)をする。検張りとは、お客さんにお渡しする前に、スタッフがいちど張って、製造上の不良がないか細かく検査する。と言う意味である。そして、もっと重要なことは、お客さんの目の前で実際にテントを張りながら、注意事項、各部の説明などを丁寧にさせていただくことである。カモシカ穂高店では、1人から2人用テントは店内で検張りし、それ以上大型のテントは、お庭の芝生の上でやっていた。
今日、女性のお客さんがモンベル社のテントをご購入されたとき、当店は狭いため、検張りができないことをお詫びした。本当は、お客さんが困らないように、テントの張り方など、詳しくご説明をしたいところである。『いいです。自宅で張ってみてわからないところは電話します。』とお客さん。しかし、4人用テントくらいまでは、なんとか検張りできるように考えなければならない。エレベーターホールを使うか?BC穂高の課題である。



8月28日 ()
雨が降ったり止んだり。今日から燕岳に登る予定になっていたOさん達は、無事に燕山荘に着けただろうか。
今週末に燕岳にはじめて登られるというご婦人がご来店された。登山をするのも初めてということで、リーダーのアドバイスのもと、必要な装備を揃えに来られた。まず、登山靴を選びサイズ合わせ。つづいてゴアの雨具、シャツ、ズボンなどのウエア。ヘッドランプの必要性など、順番に基本的なことから応用の仕方まで、時間をかけてゆっくり一つずつご説明する。その最中に、登山靴の底が壊れたというご婦人がご来店された。見せていただくと、その登山靴は、LOWAというドイツブランドのレディーライトというモデルだった。これはひどい。よくあるウレタン素材の経年劣化ではあるが、ここまでボロボロになった状態は、はじめて見た。動かすだけで、粉のようになったウレタンが剥がれおちてしまう。
そのご婦人は、明日、友人と燕岳に登られるということで、県外から来られた。
『登山靴をお願いします。』
と、そのご婦人。すぐにサイズ合わせをして、登山靴をご購入された。しかし、このLOWAは、大変気に入られているということで、残念そうなご様子。
『このローバーは、ソールの張り替えができますよ。』
というぼくの一言に、一瞬、ご婦人と、空気が止まった。
・・・・・・
『ほんとうに、できるんですか?』
『ええ、3週間と、ソールの張り替え代金をいただければ。ピカピカになります。』


『今日、購入した登山靴はスペアとして使いますので、張り替え、お願いします。急ぎませんので、宅急便で送ってくださいますか。この靴は大変気に入っているので嬉しいです。』
ご婦人は、新調されたスペア登山靴と、ソールの張り替え代金をお支払いになられて、新しい靴をはいたまま
『この登山靴、軽いわ。』
と、足どり軽く、お店を出て行かれた。

先にご来店され、登山装備を順番に揃えられていたご婦人は、一時中断し、今のやりとりを一部始終、ご覧になられていた。そして、
『私の登山靴は大丈夫ですか?』
『ええ、新品ですから大丈夫です。でも3年から5年のうちに張り替え時期がきます。』

そして、登山靴のソールのウレタン素材の経年劣化について詳しくご説明した。








8月27日 ()
いそがしかったお盆もすぎて一段落といった感じの暇ーな月曜日。あさから開き直って掃除をはじめた。今日のターゲットはカウンターの内側にオープン以来放置されていた、いろんな物のかたまりである。オープンから今日まで、ずっと気になっていたため、1日かけて、じっくり片付けることができた。すると、閉店の時間には、のどに引っかかっていたものが取れたような・・・。すっきりした気持ちになった。


8月26日 ()
3日ほど前の出来事。お店の玄関に住み着いているツバメのヒナは、現在4匹。あっという間に大人と見分けがつかなくなるほど成長した。まもなく巣立つだろうけど、前回、巣が崩壊して、ヒナが落ちていたことが気になり、ヒナが巣から落ちても、すぐ下で受けれるように、登山靴の箱で、フン対策もかねて受け皿を作って看板と巣の間に固定した。すると、次の日、どさっという音とともに、大きくなったヒナの重さに耐えきれなくなった巣が丸ごと壁から剥がれて、その箱の中にヒナごと落ちてしまったのである。またもや、ツバメのヒナは、マイホームを失い、人工物に寝泊まりすることになった。このツバメたちの両親は、巣を作るのがへただなぁ。

燕山荘に用事で電話をしたときに、オーナーの赤沼さんが電話にでられた。用件を話したあと、赤沼さんから一言。
『穂高駅前の登山ショップでは、朝4時から登山靴がバンバン売れるんだってねぇ。上(山)で話題になってるよ~。』



8月25日 ()
いつものように、早朝4時の穂高駅前は、BC穂高だけが、ライトアップされている。夏も過ぎ、日に日に明るくなりはじめる時間が遅くなっているのが少し寂しい思いもある。今は、4時30分を過ぎたころから夜空がだんだん明るくなって来る。今朝も快晴の北アルプスに陽が差し、朝がやって来た。
朝一番のバスも出て、一時的に人影がなくなった早朝の穂高駅前で、澄んだ清々しい空気を感じながら、双眼鏡で、北アルプスの稜線を覗き観していると、神戸のNさんご夫婦がお店にやってきた。
西鎌尾根からアプローチして、槍、南岳、キレット、北穂高岳の順に攻める予定が、キレットの当日、天候があまり良くなかったため、ルートと日程を変更して、1日早く撤退してこられたそうだ。
北アルプス表銀座の登山口のひとつでもある、安曇野穂高駅前には今日も、早朝から入山される人、下山してこられた人、今夜は中房に泊まって明日から入られる人、地元のアルピニストや、山岳ガイド、山岳救助隊員など、沢山の山人たちが、この街に集まる。BC穂高はそんな、人たちのお役にたてるベース基地にしたい。という気持ちで、ぼくは、この場所に登山ショップを開いた。『BC穂高に行けば、なんとかなる。』そんな登山ショップを目指して努力していきたい。



8月24日 ()
さわやか信州号は、東京や大阪と、信州を結ぶ夜行バス。穂高神社バス停に午前4時に到着して、登山客を降ろすと白馬に向う。
午前4時過ぎ。さわやか信州号に乗って来られた女性が、当店自慢の『野沢菜ちゃあしゅうちまき弁当を朝食にご購入された。
お盆をすぎたあと、中房登山口へのバスは、平日の運行が午前8時発からはじまる。5時5分のバスが運行されるのは土曜日のみになるため、午前4時に到着しても、バスをご利用される場合、8時まで待たなくてはならない。『バスの8時まで、居させてください。』とその女性。店内でお弁当を召し上がったあと、雑誌や『岳』という漫画本を読んでバスまでの時間を過ごされていった。そのあと、登山靴を自宅に忘れてこられたという男性がご来店された。その男性は、商品棚に展示してあった、モンベルの26.0cmの登山靴を、さっと履いて『これください。』そのままご購入された。『サイズ、大丈夫ですか?』と、ぼくがたずねると『自宅に同じモデルの同じサイズの登山靴が置いてあります。』と、自信まんまんだった。



8月23日 ()
暑さの峠は越えたのか。ようやく、爽やかな信州の夏にもどったような1日だった。
登山ショップには『足が痛くなる。』というご相談に来られるお客さんが多く、そのほとんどは、膝の痛みか、登山靴がらみのご相談である。今日は、『足首が痛くなった。』という女性が、登山靴をご持参でご来店された。登山靴を履いていただき、確認してみると、登山靴には異常がなく、靴紐もしっかり締めている。履き方にも問題は無さそうだ。登山靴は新品の皮革靴のため、履き慣らすと、もう少しソフトになってくるだろう。靴紐を緩めないで、足首をもう少しソフトに締める方法を説明し、登山靴の足首のあたる部分をサポーターで保護することで、なんとかなりそうである。お話しをお伺いしていると、登りでは問題なく、痛くなったのは下りのようである。
靴が馴染むまで、歩幅を小さくして、ゆっくり歩いていただくようにお願いした。



8月22日 ()
キャメルバックのハイドレーションシステムは、他社製品と比べて、価格面や機能性、オプションの充実性、耐久性など、あらゆる面で、優れているような気がする。それぞれ好みもあるので一概には言えないが、BC穂高では自信をもっておすすめしているアイテムのひとつである。Kさんがご来店され、Nさんの分といっしょに、キャメルバックのケース付2リットルタイプを2セットご購入された。お2人とも女性で、ハイドレーションシステムをお使いになるのは、はじめてのこと。来週末の山行で、ハイドレーションデビューするそうだ。
ハイドレーションシステムは、歩きながら少しずつ必要な水分を体内に効率よく補給することで、身体にはとてもよく、無駄な水を減らすことができるのが利点。とくに女性には、少しずつ補給した水は、尿にまわされず、体内に吸収されるため、トイレ対策にもつながるし、排出される余分な水分を減らすことができるため、水の軽量化にもつながる。その反面で、歩きながら水を飲んでいると、残量がわかりづらく、慣れるまでは、水切れをおこさないか心配のため、飲むのを控えようとする傾向があるようだ。

MT EQUIPMENT コーナーを更新しました。



8月21日 ()
クロックスに次ぐ、大人気のウォルディーズサンダルが、今日も6足売れた。ここ毎日、5足~10足のペースで売れている。お盆の前に入荷した大きいダンボール2箱分あった大量のサンダルは、すっかり無くなり、棚もスカスカになってしまった。とくにLサイズは残りが2足になっている。次の入荷は8月末・・・。

・・・そんな、子供から大人、おじいちゃん、おばあちゃんにまで大人気のウォルディーズサンダルにも、まったく問題が無いわけでもない。
1つは、ストラップを止めている銀色の金具が取れて無くなるケースがある。その銀色の金具はネジ式になっているため、普通に履いていても取れてしまう可能性がある。しかし、ウォルディーズサンダルは、輸入された時に、輸入元のモンベル社にて、すべてネジにアロンアルファーを流し込んで緩まないように固定している。しかし、中には、固定漏れもあるようで、履いているうちにいつのまにか、取れてなくなってしまった。というケースが当店でも2件あった。もし、無くされたとしても、すぐに対応できるように、当店には予備の金具をご用意している。
2つ目の問題は、キッズである。とくに小さなお子さんは、靴やサンダルを履くとき、左右さかさまに履くことがよくある。これをほおっておくと、足の内側に(本当は外側)にあたる金具が擦れて、水ぶくれができて、痛くなってしまうのである。これは、うちの茜空もとなりのRちゃんもやってしまった。その件については、今のところ、親に注意して見てもらうしか無いけど、子供がすることだから、たとえ左右さかさに履いたとしても、擦れて痛くならない金具に変更してもらうよう、輸入元のモンベル社を通して、改善の提案をしている所である。



8月20日 ()
7月のはじめころから、お店の玄関に住みつきはじめたツバメの家族は、5羽のヒナが孵り、玄関先がピーピー賑やかになった。道行く観光客や、家族連れ、カップルさんたちが、ツバメの巣に気がつくと、ピーピーと親鳥からエサをもらうヒナの姿を見てこれまた歓声があがり、賑やかだ。子供たちや大人まで、『かわいい~。』などとキャッキャ言いながら、デジカメやビデオでパシャパシャ。今日、ご来店されたフランス人のご夫人は『フランスでは、ツバメが巣を作ると、その家はラッキーなのよ。あなたのお店もラッキーなの。』と日本語で言ってくれた。








8月19日 ()
『今年は、山も暑いなぁ。』と、燕岳から下りてこられたお客さん。今年は、お盆が過ぎても蒸し暑さがとれない。暑さだけならまだいいけど、梅雨が明けてから、夕立も含めて、まともに雨が降っていないのが困ったものである。水を沢からポンプアップしている山小屋さんはいいとして、飲料水など、すべて雨水に頼っている稜線の山小屋さんでは、深刻な水不足になっているところもあるようだ。人間贅沢な生きもので、晴れた日がつづくと雨も恋しくなる。『そろそろ、ひと雨あっても、いいのかな・・・。』


8月18日 ()
野山で遊んだり、キャンプなどの野外活動するとき、怖いのが、ハチやブヨ、毛虫などの毒虫や蛇。先日、ご来店いただいた2人のお客さんより、毒を吸い出すための携帯用ポイズンリムーバーを扱って欲しいとのご要望をいただいたため、すぐに1ケース発注した。今日、そのエクストラクターポイズンリムーバーという商品が、1ケース入荷した。入荷したリムーバーをさっそく1つ、箱かだして、展示見本として、開けてみた。本体は黄色い注射器のようなポンプと、大小4種類の異なる形状をした、吸引カップがセットされていた。使い方は、患部に最適な吸引カップをポンプの先にに取り付け、ピストンをいっぱいまで引いた状態のまま、傷口にカップをかぶせて、ピストンをいっぱいまで押し込むと、皮膚ごと吸引カップに吸い込まれて、毒の吸引がはじまる。片手で操作ができることがポイント。2~3分そのまま吸引を続けることで毒を吸い出していくのである。虫や蛇などに、刺されたり、噛まれたりしたときは、すぐに吸引することが最も効果的で、時間が経つほど効果は少なくなっていく。30分以上、経過してしまうと、ほとんど効果は無くなる。取説を見ながら一通り試したあと、お2人のお客さんに入荷のご連絡をした。

『小さい子供を野外に連れ出すときは、親は必ず携帯するべきよね。虫の毒って、こわいもの。』

先日、お客さんから言われた言葉である。
わが家でも、外出するとき、いつでも携帯できるように、さっそく1セット購入。奥さんに使い方を説明して、エクストラクターポイズンリムーバーを、プラスチックケースに戻して、手渡した。



8月17日 ()
来週、初めて沢登りにチャレンジのSさんがハーネスを合わせに来られた。まずは、サイズをあわせて、安全のため、ベルトの締め方から、正しい装着位置など、基本的な取り扱い方法をゆっくりご説明する。ハーネスはレッグループの調節可能なオールラウンドに使えるマムートのハーネスのSサイズをご購入いただいた。Sさんは、地元の山岳会に所属されていて、リーダーの支持の元、今回はハーネスだけ購入して、他の装備は山岳会の装備を借りることになっている。Sさんにとっては、沢登りはおろか、ハーネスを着けるのも初めての経験である。『わたし、会のみなさんに迷惑かけるかも・・・。』と、弱気な表情のSさんに、ぼくは『沢登りは、きっと病み付きになりますよ。』と、無情な笑顔で見送った。


8月16日 ()
当店ではじめて、ハンモックが1個売れていった。ハンモック第1号さんは、別荘地にお住まいのご家族さんたち。こういうシロ物でいちばん盛り上がるのは、たいてい、お父さんと決っている。・・・どこの家庭もそうである。このハンモックは、メーカーさんでも、ずいぶん前から欠品中で、今月末に多少入荷する予定だそうだ。そのうちいくつかは当店にもまわってくるだろう。今のところ、フリー在庫のハンモックは、お店の展示品1点しかない。お盆があけると、信州は、暑さもゆるみ、過ごしやすい爽やかな秋の空がやって来る。秋は、まさに、ハンモックの季節である。


8月15日 ()
昨日、地図をご購入いただいたとき、ぼくが手渡さなかったために、山のことをお話しをしている間に、地図のことは忘れてカウンターに置いたまま、中房行きの登山バスに乗って行かれた、カリマーのパックを背負った若い女性のお客さんが、午後2時すぎに戻ってこられた。今度はしっかり手渡したけど、山から下りてきた人に手渡しても、いまさら・・・。という感じだった。しかし、山の天気は最高だったのがせめてもの救い。今度は、常念岳から燕岳まで縦走を考えられている。地図は、そのとき役立つはず・・・。

ここ数日、午前中は暇で、午後、下山隊が穂高駅に戻ってくる2時頃から猛烈に忙しくなるパターンが続いている。きょうも、午前中から午後1時ころまでは、お暇で、ゆっくりお弁当も食べて、同ビルにある、冷房の効いた2Fの喫茶店で、アイス珈琲を飲んだりする時間があった。そして、喫茶店から戻ったと同時に新潟からお客さんご夫婦がご来店されて以来、店内の人口密度が高くなり、ぼくは狭い店内を走り回ることになった。



8月14日 ()
珍しい8月の梅雨明け以来、毎日暑い日がつづく。去年までなら、今頃、涼しいアルプスを行ったり来たり。今思えば、夢のような毎日を過ごしていた。とはいえ、ここは信州。朝晩が涼しいのは救われる。
昭文社の登山地図制作関係の会社にお勤めの、若い女性のお客さんがご来店された。今日から1泊2日で、燕岳登山に来られたそうだ。いろいろお話しをして、出発前に昭文社の槍穂高の地図をご購入されて、8時のバスに乗って登山に向われた。しばらくして、カウンターの上に、先ほどのお客さんがご購入されたはずの地図が置いてあることに気がついた。代金だけいただいて、ぼくが、商品をしっかり渡さなかったのが原因だ。『しまったっ。』
その後、別のお客さんが、地図をご購入され、代金をお支払いいただき、ぼくがお釣りをお渡しすると、購入された地図を置いたままお店を出ようとしたため、その時は、ぼくが気づき、玄関のところでお渡しできた。














8月13日 ()
BC穂高では、BC CLUB CARD というメンバーズカードを発行している。これは、お得意様へのサービスの一環としてはじめた制度である。現在は会員様が200名を超えている。今日も3名の方が会員になっていただいた。お買上げ時に会員制度についてご案内させていただいたお客さんの中のお1人(女性)が
『私、初心者なんですけど、会員になれば、いろいろ相談にのっていただけますか?』
とご質問されたので、ぼくは
『会員様でなくてもご相談には、のりますよ。』
と答えた。

以前、ライケルの登山靴をご購入された女性のお客さんが、ソックスを買いに来られた。そのとき、下りで足の指先が痛くなった。というご相談をお聞きした。
『靴下もご持参で、登山靴を持ってきてください。』
とお願いすると、
『今、車にあります。取りに行ってきます。』
と、駐車場に取りに行かれた。足先は、下りで親指の爪が少し痛くなるとのこと。中敷でサイズを確認したところ、サイズはピッタリである。こういう場合は、そのまま登山靴を履いていただき
『いつものように靴紐を締めてください。』
とお願いして、その様子を観察する。すると、足の甲の部分の紐をまったく締めずに靴紐を結び始めた。原因は紐の締め方のようである。そのお客さんには、靴紐の締め方をじっくり説明させていただき、中敷も調整して指先がまったく当たらなくなった。



8月12日 ()
ウォルディーズのサンダルが飛ぶように売れた?というより、ウォルディーズのサンダルだけが売れた。というほうが正しい。BC穂高は、モンベル社の安曇野地域の正規代理店となっている。規模は小さいけど、山専(登山専門店)としては、この界隈の代理店は当店だけだろう。そして、そのウォルディーズというブランドのサンダルは、モンベルが総輸入元であるため、当店にもモンベル社から直接送られてくる。以前は、今人気のクロックスという兄弟ブランドもモンベル社で輸入することに決っていたが、クロックスとウォルディーズの社長同士の兄弟喧嘩が勃発し、困ってしまったモンベル社は、最初に契約を交わしていたウォルディーズ社1本に絞ることで、クロックス社との取り引きを終結させた。というのは実際の話のようである。いずれにしても、最初にあのサンダルの原型を作ったのは、ウォルディーズで、それにストラップを付けて売り出したのが、クロックスである。そのあと、ウォルディーズにもストラップが付いて販売されたため、どちらもまねをした、と言えるだろう。最近は、他にも似たようなサンダルを製造しているメーカーもあり、スーパーやホームセンター、王手スポーツ量販店などでも、似たようなサンダルを見かけるようになった。それだけ、このサンダルは、世界中で、すばらしいアイテムとして認められているという証なのだと思う。履き心地の良さ、軽さ、丈夫さ、などはアウトドアでもインドアでも実証済みで、ぼくは、ここ数ヶ月間、毎日といっていいほど、このウォルディーズサンダルを履いて仕事をしている。だから、ぼくの足は、日に焼けて、ウォルディーズサンダル模様になってしまった。先日、モンベル社の営業担当Oさんと、いろいろお話しをする機会があったため、来シーズンは、別の形をしたサンダルや、長靴などアイテムを増やして欲しいと提案した。
『長靴は是非、穴あきの長靴を作って欲しい。』
と、ぼくが強く提案すると、モンベル社のOさんは、冷ややかな表情で
『はい、ウォルディーズ社と近々打ち合わせがあるため、提案してみます。』
頼みましたよ~。



8月11日 ()
朝一番に仕込んだ、ちゃあしゅうちまき弁当が、5時5分のバスが出る前に完売した。次の8時発のバスに合わせて、仕込んだら、またすぐに完売した。午後は、狭い店内にお客さんが密集し、身動きがとれなくなったぼくは、レジカウンターの中で、レジだけ叩いていた。
『来ました。覚えてますか?』というご夫婦がご来店された。以前、燕岳登山に電車で来られたけど、台風のため中房線が通行止めになりそのままUターンして、帰られたご夫婦だった。『いい所だから、また来てください。』と、そのときぼくがお願いした。そして、快晴の燕岳に登ってこられたそうだ。お店はあわただしくなっていたため、ゆっくりお話ができなかったけど、ご夫婦のいい笑顔が見れて、ぼくはうれしかった。
午後1時に、BC穂高にてお弁当を購入して、そのまま今日中に、燕山荘まで行くといってバスに乗ったお姉さん達2人組みは、無事、燕山荘に到着しただろうか???



8月10日 ()
4時40分ごろ、『登山靴が必要なので買います。』と男性の登山客がご来店された。先ほど着いた夜行バスでその男性は、仲間と燕岳を登りにこられたけど、登山靴をそのバスに置いたまま降りてしまい、発車したしたあと、置き忘れたことに気がついたそうである。その男性はサンダルを履いていた。サイズは26.5cm。M社の登山靴がピッタリだったのでご購入されて、そのまま履いていかれた。
しばらくすると、大学生の男の子がご来店。『すみません。登山靴が必要なのでみてください。』今度は、電車に置き忘れてしまったという。その彼もサンダルを履いていた。サイズは27.0cm。またもM社の同じモデルがピッタリだった。登山靴は重たく硬いため、街中ではゴツゴツしていて歩きづらい。そこで、登山の行き帰りやテント場、山小屋まわりではサンダルにはきかえることで、快適な登山ライフが楽しめるのである。電車やバスを降りるとき、バックパックを忘れることは無いと思うので、"うっかりさん"は、登山靴をバックパックに収納するか、外に取り付けるように工夫が必要なようだ。



8月9日 ()
毎日、暑い日がつづく。BC穂高では、8月6日まで、エアコンなしでがんばってきたけど、暑さも限界。店員もお客さんも汗だくでは、じっくり装備を選ぶことができないため、7日より、エアコンを始動することにした。
リモコンを片手に、いよいよ禁断のボタンを押してみる。ブォォォォーという音とともに、エアコンが動きはじめた。温度は29度に設定する。玄関ドアは開けっ放しだけど、中は狭いせいか、すぐにエアコンが効いてきた。



8月8日 ()
トレッキング用ストックを2本買っていかれたご夫婦は、明日から燕岳登山。登山靴、雨具、パックなどフル装備で揃えられたご家族は、週末に表銀座を槍ヶ岳へ。お弁当をご注文いただいたご夫婦は、明日、常念岳から蝶ヶ岳。アルファー米などの食料を買い込まれたTさんは、秩父の沢へ。3人の子供さんと奥さんと自分のために、ウォルディーズのサンダルを選んで、レジまで抱えて持ってこられたお父さん。登山の計画をお聞きしながら、必要な装備をお選びになられるときの笑顔は、みなさん目が輝いている。そんな笑顔を見ながら、仕事ができるぼくの職業は、ほんとうに楽しい。


8月7日 ()
あさから、また木工作業がはじまった。オープンして依頼、たりない什器類はほとんど手作り。とくに、Tさんが手がけている。Tさんが、形にして、ぼくは、グラインダーで思う存分削ったあと塗装する。夕方には、完成した。

ご注文いただいていたグレゴリーの大型バックパックをDさんにフィッティングする。フレームサイズはSサイズ。Dさんにはぴったりサイズだった。そのあと、ゼロポイントのチャチャパック。また、グレゴリーと、バックパックのお客さんがつづく。








8月6日 ()
午前中から発達しはじめた積乱雲が、蝶ヶ岳のほうから、もくもくと安曇野に向ってのびてきた。正午すぎに、この夏初めての夕立が降りはじめた。夕立は、降ったり止んだりを繰り返しながら、夕方の5時ごろには、遠くで雷がゴロゴロなりだしていた。しかし、期待したほどの大雨は降らず、強烈な雷も近づいてこなかった。
1ヶ月ほど前にM社の登山靴をご購入いただいたAさんが、その登山靴を持ってご来店された。登山中に靴紐を通す金具のリベットが破損したという。見てみると、リベットの軸が折れていた。Aさんからその登山靴をお預かりして、メーカーさんに連絡を入れて、クレームということで送った。登山中に登山靴が壊れるということは、あってはならないことで、新品の登山靴が簡単に壊れてしまい、Aさんはがっかりされていた。大変ご迷惑をおかけしました。



8月5日 ()
午前3時30分ごろ出勤して、真っ暗闇の穂高駅前ロータリー『BC穂高』のオープン準備を始めると、Aタクシーの運転手さんが、
『4時からですよね。』
とぼくにたずねてこられた。
『はい。今準備しています。』
とぼくが答えると、
『お客さんが待っていますよ。』
と運転手さん。
『いつでもいいですよ。』
と運転手さんに告げると、運転手さんがお客さんを呼びに行かれた。
『なんだろう?』
と、考えながら、急いで準備した。
すぐに、ご年配のご夫婦がご来店された。
『登山靴をうっかり置いてきてしまって、登山靴をみてください。』
とそのお客さん。ご夫婦で仲良く登山に来られて、ご夫婦で、仲良く登山靴を忘れてこられて、ご夫婦仲良く、ペアの新品登山靴を履いて、燕岳へ行かれた。そのときにお客さんから言われたことが
『登山靴を忘れてきた私達は、まぬけ、でしたけど、昨夜、おたくのお店が朝の4時から開いていると聞いて、3時から待っていました。恥ずかしい失敗をした私達にとって、あなたは、神様よ。』
毎日、早起きしていてよかった。



8月4日 ()
昨夜は、閉店後に、中房にある有明荘に納品に行ってきた。商品は、春に制作したオリジナルプリントTシャツのメンズLサイズだけが夏山シーズン前にもかかわらず、なぜだか、6月中に完売してしまったのである。シーズンに入ってLサイズが無いのは困るということで、追加制作することになったのだ。有明荘のスタッフによると、地元の方が、まとめ買いするケースが多いという。
仕事を終えると、すぐに下りてきて自宅にもどり、数分後には寝ていた。



8月3日 ()
BC穂高のレジは、センターカウンターに置いてある。カウンターに入るには、小さな扉を通らなければならない。BC穂高は店内が狭いため通路でお客さんが、商品を見ている場合、そこを通るには、お客さんに避けてもらわなければならない。いくら狭いとは言え、お客さんに避けてもらうのは気が引けるため、カウンターに戻るのに、幾つかのルートを迷路のように通りながらカウンターの扉をくぐる。店員はぼく1人、たまに、忙しいと、何人かのお客さんをかけもちになることもある。今日は、登山靴、雨具、などのサイズ合わせや、商品の説明、登山ルートのご案内など、閉店する頃には、ヘロヘロになった。


8月2日 ()
午前7時にTさんが到着。さっそくお店の看板取り付け作業を開始する。職人Tさんは、道具もすべて持参で、まず、スケールと鉛筆を持ち、あちこち、寸法をとりながら、木の看板の裏に設計図を描いていく。Tさんのあまりの手際よさに、ぼくはなすすべもなく、邪魔しないようにただ見ているしかなかった。看板取り付けの下準備は、約2時間。9時ごろから。本格的に看板取り付け作業をはじめると、ステーなどぴったり土台に収まり、10分ほどで完成した。段取り8割とは、このことだ。ようやく、看板がつき、お店がグレードアップしたような感じ。しばらく、看板を眺めながら、小さく彫られた、『山の店』という文字がうれしくて、にやけてた。



8月1日 ()
丸太工房から、待ちに待った、お店のセンター看板がやってきた。取り付け木工工事となれば、Tさんの出番である。Tさんに電話で、看板を取り付ける相談をすると、見に来られるということで、30分後、『看板いいね~。』とTさんがお店に到着。その頃から、お客さんが途切れなくご来店され、落ち着いた頃には、Tさんの工事プランができていた。そのプランの説明を聞き、ぼくは『なるほど。』と関心。ビスや金具が外から見えずに、看板や建物にもできるだけ傷つけない配慮がされている。看板の取り付け工事は、明朝7時から10時までに決定。
閉店準備をしていると、茜の空が目に飛び込んできた。久々に見る夕焼けだった。台風の影響なのか、雲がとても不思議な姿をしていた。