登山靴と山岳テント専門店 バックカントリー穂高


jul.2009
7月31日 ()
エアボード社(fun-care)より日本のモンベル社で輸入しているエアボードのおまけ的な存在のラウンジシートが入荷した。さっそく1台膨らませてみる。バルブはエアボードと同じで、ハンドポンプも付属する。このラウンジシートは、3月のてれまくりの展示会場で、モンベル社の原田さんから注文させられたシロモノで弊店には2台入荷した。そのうち1台は、遊ぶことにしたため、のこりの1台は在庫である。価格は13800円とお手ごろ。ラウンジシートは、砂浜、芝生、雪、屋内など、ソフトな所ならどこでも使える。持ち運びも便利で、野外イベント、キャンプ、公園のお散歩、海水浴場、プールサイド、スキー場のゲレンデなど、日光浴や屋内で寛ぐにも良い。ラウンジシートのこの微妙なカーブや凸凹で座り心地も寝心地も抜群である。ぼくは、とりあえずお昼寝してみたい。ちなみにぼくは、早朝営業のあいだ、すきあらば、お店のハンモックで居眠りをしている。ときどき、お客さんに起こされることもある。
このラウンジシートは、写真をとったあと、とりあえす、家にもってかえると、娘の茜空(あかね)が飛び跳ねるおもちゃになった。








7月30日 ()
BC穂高の整理整頓担当部長のおけいちゃんが、いつものように朝9時に出勤し、珈琲マシーンのエスプレッソを飲みながら「さあ、おおたさん、今日は何します?」とおけいちゃん。その一言になぜだか気迫をかんじた。「えっ、考えてないけど、何するの?」とっさに逃げ腰な返事になってしまった。・・・これはまずい。と思うまもなく。「じゃあ、おおたさん、今日は思いきって、カウンターの中を片付けましょか。ニタッ」

ぼくは、おけいちゃんの指示どおり、ファイルブックや書類ボックスなどを買いに走る。その間に、おけいちゃんは倉庫の片付けをはじめた。



7月29日 ()
8月の1日から3日にかけて登山教室で計画していた穂高縦走の日程を変更することにした。予定は、初日の1日降水確率60%の中、涸沢まで歩き、ヒュッテ泊。2日目曇り降水確率40%で南稜を登り北穂高岳、涸沢岳、白出コルまで縦走し、山荘泊。3日目曇り降水確率40%奥穂高岳、吊り尾根、前穂高岳、岳沢経由で下山。である。ずっと予想天気図を見てきたが、気圧配置は、一時的な晴れ間はあっても完璧な晴れ間は期待できない。これだけ湿気っぽいと、どちらかというと、山間部は雨の確立がぐーんと上がる。今回の計画の場合、雨の縦走を実行するつもりは無い。梅雨前線が北へ(大陸へ)押し上げられるか、消え去ることが最低条件なので、今この気圧配置では、ワクワクできない。


ぼくは今、お盆明けから秋の天候に期待を寄せている。ぼくの頬の気象センサーがそう言っているのだ。お盆をすぎると、日照時間も少なくなり、太陽も遠ざかる。その頃には、自然と気圧配置にも変化が現れるだろう。あくまで、ぼくの気象センサーが言っていることなのだが、今年は、お盆明けから、残暑は厳しい。と予測している。8月中旬から10月、11月にかけて、期待しよう。


輸入業者のA社から営業のKさんが弊店に新取扱い商品の案内に来られた。山やアウトドアフィールドで、ソーラーバッテリーに蓄電し、携帯電話などの機器に充電や電源として使えるバッテリーである。価格は12000円ほどで、そこそこ軽い。性能は、ぼくもテストしてみないとわからないが、その電池には、日照があれば1日で満タンに蓄電でき、そのエネルギーは、携帯電話を1回満タンにできるだけの能力はあるという。そのバッテリーには、ソーラーアンテナが付いていて、USBジャックが付いている。外部電源からの充電も可能で、家庭で満タンにして持っていけば、予備電池としても使える。A社では、現在ガーミンGPSへの対応を研究されていて、もしかしたら、GPSにダイレクトに繋ぐことで稼動させることができるかもしれない。これは、なかなか楽しみなツールである。価格も1万円ほどなら、電池代を減らすことで元は取れる程度だ。あとは、どれだけ便利に使えるのか? デモ機が届けばテストする予定だ。
※弊店の会員さまには、ご希望があれば、フィールドテストのために貸し出しします。(HPで発表する感想やレポートもお願いする予定です。)



7月28日 ()
あさ7時ごろ、女性のお客さまが登山靴を購入される目的でご来店された。その女性のお客さまは、今回爺ヶ岳に登るため長野方面から来られた。しかし、うっかり登山靴を忘れて来られたという。「たしか、早くから営業してるお店があると聞いたことがあったので来てみました。」とお客さま。「今の登山靴もそろそろ買い換えようと思っていたので、思いきって買います。選んでください。」ということで、その女性のお客さまの登山靴選びがはじまった。春や秋の雪山にも少し登りたいということで、ローバーのヌバックレザーをフィッテング。

BC穂高では、少々遠くから来られているとはいえ、弊店で登山靴をご購入され場合、その登山靴を履いて何度か山を歩かれて、再びご来店いただくようお願いをしている。お手入れの仕方をご説明するためである。お手入れ講習は、実際に履いた登山靴をご持参いただき、太田流簡単お手入れ法を実演しながらご説明する。皮靴の場合は、長く愛着感をもって履いていただくために、正しいお手入れ方法をマスターしていただく必要があるのだ。

新しく購入された登山靴を一度履いて、再びご持参いただく目的はもう一つある。このとき必ず履き心地を確認している。足が痛かったり、靴擦れをしたなど不具合があれば、それを解決しなければならないのだ。お手入れ方法を実際に見ていただきながら説明するぼくは、履き心地のお聞きしたり、お客さまの靴紐の締め方、歩き方なども確認する。そして、必要であれば、専用のスペーサーを使い履き心地を調整する。

登山靴を購入されたときに「今度いつごろ来れますか?」とお尋ねしたところ「なるべく早く、お手入れ方法を教えていただくため、必ず来ます。」と、元気な返事がかえってきた。そのお客さまは、ローバーの登山靴をそのまま履いて、爺ヶ岳の登山口へ向かわれた。

今日は、関東で美容室を経営されているNさんご夫婦が来店された。1ヶ月ほど前に、奥様のユキちゃんに貸していたぼくのシュラフが帰ってきた。ユキちゃんは、ご注文いただいていたモンベルのULスーパーストレッチシュラフ#2を購入された。N先生は、先日富士登山に行ったとき、すさまじい強風に襲われ、転んで、前回購入されたモンチュラのウインドブレーカーのヒジが破れてしまった。ぼくに訴える先生の目には半分涙が浮かんでいた。そのヒジの破れは、先生ご本人が、針と糸で補修されたそうだ。先生は、ヒジを少し怪我されたようだが、ほっとけば治る程度だったようでよかった。先生は、今回モンチュラのパンツを物色され、お気に入りが見つかった。先生もユキちゃんに影響されモンチュラに染まってゆく。


Zono3-何処かで逢いましょう- 見つけたので勝手にリンクしました。 BC CLUBさんのLINKに更新。



7月27日 ()
これから山登りを始めます。という若い女性お2人が登山靴のご相談に来られた。その女性お2人は、松本で英語の先生をされている。その先生仲間のお友達が、夏の涸沢音楽祭に参加されているため、興味があるらしい。まずは、その涸沢音楽祭を見に行くことをめざして、これから山を歩かれるそうだ。もちろん、彼女たちは、これから山登りを始められるため、まだ、山登りの"や"の字もわからない。まずは登山靴を購入したことをきっかけに、いろいろな山の知識を探しはじめられる。とりあえず、弊店で計画している登山教室に一度参加されることをおすすめした。けれど、お休みが日月ということで、日程が合わない。じゃあ、日帰りで日曜か月曜あたり、臨時教室をしようかと提案した。また、倶楽部へもお誘いした。ぼくのお仕事は、モノを売ってはいるけど、弊店をご利用いただいているお客さまが、安全で、楽しく、山登りにのめりこんでいただくための良きアドバイザーになることである。スクールも倶楽部もそのためにある。ぼくは、安曇野にプライベートな登山ショップを作ったからには、それをきっかけに知り合った人達や、スタッフもそうだけど、集まってくれるみんなと、山登りを中心に人生を楽しみたい。


●BCマウンテン倶楽部の次回ご入会受付の締め切りは、9月20日です。ただいま、ご入会受付中。詳しくは、太田(事務局)までお問い合わせください。





BC穂高改造計画-ウエスタン大作戦。ウッドのステップを作りました。(丸太の師匠作) あいかわらず、すばらしい。



7月26日 ()
BC穂高は今日から、スタッフのお昼休みが交代で2時間休憩になった。これは、おけいちゃんのアイデアである。2時間で、あそぼ。というナイスアイデア。そして、2時間休憩の初日、ぼくは読書とお昼ねで過ごした。そして、おけいちゃんは、マウンテンバイクで走りに行った。 こんどは、夢の3時間休憩にむけて考えよう。


7月25日 ()
穂高岳へ登りに来られた元気な若者男女の4人グループが朝9時に来店。うち2人が雨具の不備で、調達のため、高速道路を松本インターで降りて上高地に向かうところを、もう一区間走り、豊科インターで降りて穂高駅まで来られた。仲間の誰かが、朝早く営業しているお店があるらしい。といううわさを聞いたことがあるらしく、それを頼りに来られたそうだ。4人は、弊店のカフェコーナーで珈琲を飲みながら少しくつろいで、山に向かわれた。

弊店は、日本の山岳の中心的な存在である北アルプスの山麓にあり、日本のほぼ中心にBC穂高は位置する。北アルプスの南部の登山口である上高地、新穂高から松本、安曇野、大町、白馬の各登山口に向かう途中で、あまり時間をロスせずに立ち寄れる距離にBC穂高があることになる。朝4時から毎日のように忘れ物の登山者が駆け込むわけでもないけど、ときどきでも、助かる人がいる。それがぼくの励みである。眠い目を無理やり開き重い体を無理やり動かして、7月から10月までの3ヶ月間、毎日朝4時にはお店をオープンさせている。登山装備の不備のほとんどは、小さなミスかもしれない。しかし、その小さなミスが重なると重大な事故につながるのが登山である。仲間と遠方から、休暇を利用して、大好きな北アルプスへ登山に来られた方々が、万一、登山靴が壊れたり、またはレインウエアなどを忘れたりして、計画を中止にしたり、大幅に変更することなく、登山がつづけられるような環境を、北アルプスでは作りたい。

ぼくのポジションは、北アルプスという、夢と冒険と感動の世界へ、皆さまをご案内すること。ぼくは山で働く者であり、BC穂高は、北アルプスの一部だとぼくは考えている。だから山が起きる朝4時に、ぼくはBC穂高をスタンバイさせているのだ。





7月24日 ()
今月末まで、予想天気図が発表されたが、いぜんとして、梅雨前線は、日本列島に居座っている状況が続いている。太平洋高気圧も天気図の東に陣取っており、動く気配も無い。いったいこれはどうしたことだろうか。気圧配置は、冬型の逆で、東高西低(とうこうせいてい?)の気圧配置となっている。このままでは、8月に入っても今のような天気が続き、お盆の手前まで、ジメジメした梅雨空が続くのだろうか。


日記本文
7月23日 ()
クラブのミーティングは毎月2回、第二水と第四木である。今のところ、ミーティングは、試行錯誤の連続で「いかに楽しむか」をテーマにいろいろなパターンを考えている。その中から今後の定番がうまれてくればいいだろう。

ナイトトレッキング in 光城山ミーティング
今日は、夜7時に光城山登山口に集合し、クラブ員の皆さまはヘッドランプの灯りを頼りにナイトトレッキングを楽しみ、ゴール地点の長峰山山頂で、ぼくがBQの準備をして待っている。という計画だった。しかし、6時すぎに、松本-豊科間がゲリラ豪雨に包まれ、その端っこの雨雲が、我々が集まる30分ほど前から光城山周辺にもかかり、ポツポツと雨が降りだした。登山口に向かう車の窓に雨粒が容赦なく打ち付ける。とりあえず、登山口に7人集合。雨足はすでに小降りとなっていたが、これからも降るのか、止むのか、判断できなかったため、モモンガのナイトトレッキングは中止した。そして、屋根のあるBQ可能な公園に移動して、BQパーティー&ミーティングとなった。ミーティングは、集まれる人が集まり、雑談の中から、活動計画が生まれたり、だれかの計画に乗ったり、それほど議題がなくてもコミュニケーションの場になればそれでいい。今回のミーティングでは、Yさんを自然観察部に参加してもらう作戦が実行された。小さなことでも、いつも、何か、心に響く倶楽部にしていきたい。



撮影:ゆうじんさん



7月22日 ()
お客さまからご注文いただいたGPSmap60のセットアップ作業をしていると、最近タッチパネルのオレゴンや、くるくるのコロラドを操作することが多いせいか、map60がすごく新鮮に感じた。操作のしやすさは、map60が一番である。スパスパと反応も早い。ディスプレイの解像度など、街中では、見にくいが、等高線の入った山の地形図としては、十分に見やすい。GPSの最新機種が次々に登場しても、モデルとして維持されている理由はこれだろう。とにかく、操作のしやすさと、反応の速さ、バッテリーの持ちでは、map60がベスト機種だ。


「ねえ、おにいちゃん。」
「靴にはめる輪ゴムないか~。」
としゃべりながら、観光客風の太ったおばさんがお店に入ってきた・・・いやな予感がする。
「これから、栂池の自然園に行くんやけどなぁ。」
「木道はすべるから、滑り止めしたほうがええて言われてん。」
「何でもええけど、そんなんあるか~。」
「普通は靴の底がゴムだから輪ゴムはしませんけどね。」とぼくが答えると
「いや~これは滑るわ。ツルツルやし。」
カウンターの中にいたぼくは、外に出て靴を見てみた。黒い皮のような普通の靴で、底はゴムでもなく、皮でもなく、プラスチックでもないツルツルで溝のまったく無い靴底だった。もちろんクッション性も無い。もちろん、山岳地域に立ち入るには、それにあった靴がひつようだ。
「それは滑るでしょ。靴があかんなぁ。」
木道で使える滑り止めの輪ゴムなんて、あるのかどうかは知らないけど、山岳地域での転倒による事故の大半を木道で滑って転ぶひとが占めている。とくに雨や朝の霜で濡れているときは、よく滑る。



7月21日 ()
3連休がおわった。7月20日の海の日は、ぼくにとって子供の頃から特別な日であった。夏休みが始まるのだ。いまは、夏山が始まる特別な日である。今年の海の日は、梅雨のぐずぐずしたお天気のあいまに見事に晴れてくれた。気象庁は「これからも梅雨空に戻ったようなお天気が続きます。」と嘘くさいことを言っている。

どうして、梅雨前線が大陸に消えていかないのか。この前線はいつまで猛威をふるうのか。気象庁には、その分析と今後の見通しを見解して欲しい。ここ数週間の天気図を見て気付いたことは、梅雨から夏の気圧配置変わるために重要な役割をはたしてくれるはずの太平洋高気圧が、理想の位置よりかなり東にあることだ。山や海だけでなく普段の生活でも気象は時に災害をもたらすことがある。皆さんも、お天気の雨マークや晴れマークばかりに注目していないで、毎日の天気図を見てほしい。最初は天気図の見方がわからなくてもいい。しかし、毎日天気図をみて、今日のお天気を観察していると、不思議とお天気がよめるようになってくる。気象現象に、たまたまという言葉はない。必ず、その要因があるものだ。気象には一定の法則があり、気圧配置を見れば、ある程度の風向きや強さ天候の変化は予測可能なのだ。たとえば、空に浮かぶ雲も一定の法則で変化している。今後の天候を知らせてくれる雲がある。低気圧や前線の前に現れる雲がそれである。その雲の変化を観察することで予測できるのだ。それが観天望気だ。これからも、梅雨前線は大暴れするかもしれない。

BC穂高は、夏山シーズンがはじまり、2時半ごろ登山帰りの人でお店は混み合うようになった。登山帰りのお客さんは、天候に恵まれて景色も堪能し、下山後もその感動の余韻に浸っている人は、来店されても上の空。ぼくが話しかけても無視して受け付けない人もいる。ぼくにアドバイスを求めながらも、人の話は右から左で、冷静さを失っている場合もある。みんながそうでもないけど、そう感じることがある。ぎゃくに、お天気に恵まれず、雨に降られたり、霧で景色が見えなかった人ほど、冷静な方が多い。話しかけると、ステキな笑顔で素直に返答され、会話が楽しいことがある。ぼくは、店員としては、後者のお客さまが好きだ。会話したほうが楽しいし、ぼくのアドバイスもしっかり理解してもらえる。ぼくは、雨の日の営業のほうが好きだったりもする。




7月20日 ()
いつものように、午前3時40分ごろ、お店に出勤する。昨日ご予約いただいた信州弁当を仕込んでいると、ちょうど4時に、男性のお客さまがお2人で来店された。

「登山靴を買いに来ました。」
「今シーズン初やな・・・。」ぼくの頭に浮かんだ。でも声には出さなかった。
「靴を忘れたんですか?」ぼくがたずねると
「いいえ、ちがいます。登山靴を買いに来ました。」お客さま
「まじで・・・。」どうも困っているわけではなさそうだ。
そのお客さまは、忘れ物をされたわけでもなく、登山靴が壊れたわけでもない。あさ4時の弊店で、登山靴を購入される目的でこられたようだ。そして、購入された登山靴で、今日は白馬に登られるという。そのお客さまの足には、シリオのヌバックレザーの611GTXの26.5cmがベストフィットだった。そして、お客さまは、その登山靴を履いて白馬に向かわれた。

午前中に、男性のお客さまが来店された。「久しぶりです~。」とそのお客さまは、なんと、今年の4月19日(日記)に来店されて、登山靴をご購入されたお客さまである。

そのとき・・・お客さまは、3月の常念岳(冬山)をスニーカーで登られて、雪まみれで足が冷たくなり途中敗退された。そして、4月(残雪期)に、今度は、長靴で再チャレンジ。その時は、常念小屋までは登られたが、常念岳を見上げた時、アイゼンが無いのと不安なったため、登頂はあきらめて降りてこられた。そのときに「登山靴が必要だ。」と思い、東京へ帰る前に、たまたま立ち寄ったBC穂高で、登山靴を購入された。そのときは、ぼくが「こんど冬山に登る前に、弊店の雪山講習会を受講してください。」と言って、登山靴だけ購入いただいたのを覚えている。

今回の登山は、おとといの18日に上高地から槍ヶ岳に登られた。天候は、雨風強く、雨の槍ヶ岳山頂にも立たれた。そして、翌朝、槍ヶ岳山荘を出発し、横尾から蝶ヶ岳へ登りかえし、蝶ヶ岳、常念岳の頂上を経由して、夜8時すぎに安曇野側に下山された。そのまま近くの穂高ビューホテルにご宿泊された。今朝一番に、BC穂高に来店されたのだ。お客さまは、今回の登山で、下山後に、BC穂高で、リュックサック(グレゴリー70L)とゴアの雨具を購入されるご予定で、このコースを強行されたそうだ。

「カッパのいいのがほしくなりました。」お客さま
「いまは、どんなカッパですか?」質問するぼく
「いいえ、たいしたこないです。普通のカッパです。」お客さま

どうして強行なのかというと、この2日間、持って来られたカッパは、奥さんが購入されたという、ダイソー(100円ショップ)のビニールの雨合羽だけだった。今回の登山では、2日間、梅雨前線の強烈な雨と風にたたかれた。お客さまは、雨風強い悪天候の北アルプス、3000m級を誇る槍ヶ岳、強風が吹き荒れる蝶ヶ岳、常念岳など北アルプスの名峰を次々に登頂された。ビニールカッパをボロボロにしながら、以前ぼくが教えた薄いウエアの重ね着法(レイヤード)を守り、BC穂高を目指して歩いてこられたのだ。最初は登山用のリュックサックの必要性を感じて弊店を目指された。そして、歩いているうちに、ビニールカッパがどんどんボロボロになってしまい、登山用のカッパの必要性を感じられたそうだ。
とにかく、悪天候の槍ヶ岳から常念山脈を登り返し、蝶ヶ岳から常念岳への縦走のおまけつきで、雨風に耐え、夜8時に無事下山され、そして翌朝、ぼくのお店に来てくれたことに・・・ぼくは、感動した。

しかし、その計画を、入山前にもし、相談されていたら、おそらく、無謀なことはやめるよう、説得していただろう。「だから、一度、登山教室に参加してください。」



7月19日 ()
●ツアー登山について思うこと

BC穂高は、登山ショップということもあり、親しいお客さまが来店された時、どうしてもトムラウシ山の遭難事故の話題になる。ぼくは、数年前、ガイドを始めたばかりのとき、旅行会社のツアー登山のガイドとして働いた経験がある。今は、旅行会社主催のツアー登山には行かなくなった。とくに理由というものはないが、ぼく自身あまり楽しめないから、やりたくないだけである。

旅行会社主催のツアー登山では、地元のガイドを雇い、旅行会社の添乗員(社員)と10名から30名のお客を連れてツアー登山を遂行する。ガイドの立場としては、ツアーリーダーは、旅行会社の添乗員なので、パーティというか、その団体を仕切れるわけでもない。添乗員も、何度も同じコースを歩いているとガイドより山のことに詳しい人もいる。ガイドの役割は、ツアーの形を正当化するために置かれた、ただのタレントなのである。今回のように事故がおきると、ガイドの判断がうんぬんかんぬん。と報道や社会は騒ぐ。旅行会社の社長までが、記者会見で「ガイドの判断が・・・。」と言うことで、世論の意識が、ガイドの判断ミスに向くように、自社を防衛しているだけである。旅行会社は、「ガイドの判断ミス」をたてに、全面的な批判の対象を免れようとしているのだ。

旅行会社のツアー登山では、あくまで、雇用されているのはガイドの側で、それをコントロールしているのは旅行会社なのである。旅行中の行程の中止や重要な変更事項は、旅行会社の社員である添乗員と、本部(旅行会社)とのやり取りで決定されることが多い。たとえば、業界王手の某M新聞旅行会社では、ツアーが終了すると、帰りのバスでツアー客にアンケートはがきが配られる。旅行会社宛てに、感想や不満や、時にはクレームを書いて送ってもらうためである。旅行会社は、他社との競争で、顧客を抱え込むことに意識が向いている。お客はお客で、悪天候でも行きたがる人もいれば、私は行かない。という人もいる。平均年齢が62才というお客を20名もつれて山を歩いても、全員を楽しませることなんてできるはずもない。ガイドは先頭をただ歩くだけ。お客からは、早いだの遅いだの。ガイドは、お客にも、添乗員や、旅行会社の本部にも気を使わなければならない。ただ、ストレスがたまるだけである。担当したツアーが、たまたま天候に恵まれ、すべての行程を難なくクリアできれば、アンケートには、良いことが書かれるが、悪天候などで中止にしたり、行程をすべて消化できないと、お客は消費者意識が強く、必ずと言っていいほど、一部の不満を抱いているお客からクレーム的な内容のアンケートが旅行会社へ送られる。そして、旅行会社の担当者から、ガイドへ注意がくる場合と、二度とガイド依頼が来なくなる場合がある。旅行会社に依存して生活しているガイドには、生活がかかっている。旅行会社にとってのツアーの成功は、雨でも嵐でも、計画通りの行程を消化し、無事にお客を帰すことである。旅行会社に依存するガイドは、最終的に安全についての判断より、自分の立場を守ること。つまり「ツアーの成功」に意識が向いてしまうのではないだろうか。

ぼくの知り合いのガイドのIさんは、2年間あるA新聞旅行会社と契約していた。それが、たった一度、雨の槍ヶ岳登山を悪天候のため登頂できないと判断して、槍沢から引き返したことがある。そのIさんにはその後、仕事が来なくなった。そのことで、Iさんは、旅行会社から首を切られたのである。たまたま、ぼくがIさんの身代わりでA新聞旅行会社の次の槍ヶ岳ツアーのガイドとして仕事をもらったとき、ツアーリーダーの添乗員から「太田さん、わかってますね。雨でも槍ヶ岳の山頂に行ってくださいよ。」と耳元でささやかれた。たまたま、その時は、天候に恵まれて難なく全員登頂できた。ぼくは「雇われガイドを本業としてはならない。」ことを、その経験から学んだ。

旅行会社は利益追求と、顧客の抱え込みに賭けている。こんなことを続けていると、今後も事故はおきるだろう。

自然を相手にする遊びで、現場のリーダーは、常にチームをコントロールできる大将でなければならない。すべての判断が自然との対話の中で決定されなければならないのだ。幸い、ぼくは、環境に恵まれた。ぼくが登山教室や登山ツアーを主催することはあっても、もう雇われる必要はなくなったのだ。強いて言えば、ぼくのボスは自然であってほしい。山屋は本来そうあるべきだ。来るな。と言われれば行かないし。来ていいよ。と言われれば行く。山の掟は、いつも山に従え。である。トムラウシ山ツアー登山では、はたして、山は来ていいよ。と言ったのだろうか。



7月18日 ()
ぼくは、カレーライスが大好きだ。毎日毎晩カレーライスを食べろ。と言われても大喜びである。昨夜、茜空(あかね)が通う幼稚園の行事で、園児のお母さんやお父さんが集まり、お昼過ぎから、近くの川原の公園で、カレーライスづくりがはじまった。ユカと茜空は、もちろんカレー作りに参加している。ぼくは、お店番のため、参加できない。しかし、その幼稚園のカレーの日は、夜までつづき、夜は、お父さんやお母さんは、ビールなども持ち寄り、公園でうだうだ遊んでいる計画なのだという。閉店前に茜空から「ねえ、パパ来れる?」という電話が来た。そして、パパは閉店後に参加することになった。お客さまがいなくなった7時少し前にさっさとお店を閉め、電話で聞いた公園に向かう。公園に到着すると、茜空とお友達が走っておむかえにきてくれた。到着してすぐに、ぼくは大好きなカレーライスをお腹いっぱい食べた。おまけに、残り物のカレーを鍋ごとゲットした。その公園の脇には、田んぼや小さな用水路があり、その周りには、蛍がたくさん光っていた。子供たちと夜の公園の探検もした。スイカ割りも盛り上がっていた。沢山の子供たちと、ぼくと同世代か、もう少し若い世代のお父さん、お母さんの笑い声があふれている。やっぱり信州は、え~なぁ~。

・・・今晩の夕食は、特製玉子入りカレーライス。



7月17日 ()
けさは、激しい雷と豪雨で目が覚めた。午前3時40分。ぼくは、普段から雨でも傘を使うことがほとんど無い。さすがに今朝の大雨では、歩いてずぶ濡れで出勤する勇気がなかったため、自宅からお店まで猛ダッシュで走った。さすがに起きたばかりの全力疾走は頭がフラフラして心臓にもあまり良くない。しかし、走ったおかげであまり濡れなくてすんだ。お店で、濡れた頭と腕をタオルで拭きとり、あとは自然乾燥にまかせる。雨粒の温度はそれほど冷たくない。この雨は、南から暖かく湿った空気が前線に向かって吹き込んでいる影響である。それは梅雨前線は、ぼくよりも北側を通過していることを意味している。寒冷前線が通過する時は、とくに南側で、大荒れの天気となる。雷が鳴り、雨が強く降り、風も吹き荒れる。これからも、梅雨前線は、上がったり下がったりしながら、本州を次々に通過するだろう。南シナ海に発生した台風6号もまだ近づいてくる様子がない。これから梅雨の末期である。不安定な梅雨空は今しばらく続くだろう。


人の体は、水に濡れても動けなくなることはない。しかし、真夏でも、濡れた衣類を着て、扇風機の風に30分以上さらされていると、体調がおかしくなってくる。それは、濡れた体から風によって、急激に体温が奪われるためである。人は、体温が低下すると、さっきまで元気だった人がわずか30分ほどで動けなくなる場合もある。低体温症と呼ばれる症状である。低体温症は、その症状が現れだすと、早急に対処しなければ、生存することさえ困難になってくる。それが、高山の稜線で悪天候下であれば、自力で下山することは不可能に近い。雨風の稜線歩きは、個人差もあるが、4時間くらいが限界だと考えたほうがいい。行動する判断は、歩ける状況かどうかではない。行動時間に対して、何時間体力が持つかどうかが重要なのだ。強風と雨の稜線では、4時間以上の行動は、すでに限界を超えていることになる。パーティの人数が多ければそれだけ、早く動けなくなる人もでてくるだろう。最初にも言ったように、濡れることが問題ではない。雨が降っていても、風がなく、体温を奪われにくい状況で、雨具や衣類で調整すれば、長い時間行動することも可能である。たとえば、下山するのならまだいい。

まだ、梅雨は明けていない。その証拠に、1週間先まで発表されている週間予報の天気図から梅雨前線が姿を消す日は1日もない。気象庁の希望的観測の発表だけを聞いて、梅雨が明けたと思っている人は、天気図を見ていないか、天気図の見方を知らないだけである。梅雨が明けたか、どうかを議論することに意味は無い。空を眺めて空気を感じ、天気図を見て寒冷前線の動きに意識を集中しなければならないのだ。この3連休だけが登山解禁日ではない。月末ごろには梅雨が明けるだろう。山は、それからも、いつまでもそこにある。長時間の行動計画は、状況判断で変更できる柔軟な考えで入山してほしい。判断基準を間違えないように・・・ good luck!



7月16日 ()
14日の梅雨明け宣言には驚かされた今日この頃。面白いことに、気象庁以外の気象情報サイトでは、お天気概況の説明に

17日は梅雨前線が日本海から東北南部にかけて停滞します。九州から関東は雲が多く、所々で雨や雷雨となるでしょう。山陰や北陸は発達した雨雲がかかり、大雨になる恐れがあります。土砂災害や河川の急な増水にご注意下さい。東北は日中は晴れ間が広がりますが、夜は所々で雨が降るでしょう。

と、梅雨前線の活動が活発になることを説明されている。気象庁のサイトでは、これを低気圧や前線が次々に本州を通過する。という表現がされている。梅雨明け宣言をしてしまったのだから、いや、させられてしまったと言ったほうが正しいのか?梅雨前線の存在を認めるわけにはいかないのだろう。よくある大企業や政治家の不祥事のようである。

気象庁から梅雨明け宣言発表と聞くと、おそらくほとんどの方が、なんの疑問ももたずに、それを信じることだろう。そして、海の日の連休は、海や山やドライブ、旅行など、行楽に出かける方が多くなるだろう。連休のお天気は、当日になってみないとわからないこともあるが、まだ梅雨前線が本州に停滞し、これから大暴れする危険性を秘めている。海や山、川などの大自然に入るときは、状況を冷静に観察し行動しなければならない。まだ、今は、しばらく、少し臆病な判断をしよう。


11日の土曜日、ぼくが登山教室で留守をした営業日に、Hさんのご友人が、初めての登山のために、弊店で登山靴を購入された。その方は、翌日の日曜日に蝶ヶ岳へ登られた。すると、登山中足が痛くてどうしようもなく「見てほしい。」という連絡がはいった。とりあえず弊店で購入された登山靴をお持ちいただくようにお願いし、今日の夕方、Hさんといっしょに来店された。足が痛くなるお客さまは、男性で体が大きい。両足の親指には、ガーゼと包帯がまかれ、痛々しい。念のため、病院でレントゲンをとり、治療されたそうである。まず、足を見せていただき、サイズを確認する。足のサイズと購入された登山靴のサイズは完璧なベストフィットだった。サイズがよければ、問題は靴紐の締め方である。お客さまは足の包帯があり、靴に足を入れることができないので、ぼくが、靴紐の締め方をご説明すると「靴紐て、そんなに強く締めるんですか・・・」とお客さま。足が痛くなった原因に、なっとくされたご様子で、表情に笑顔が戻った。

良い登山靴の選び方で重要なことは、靴紐がきつく締まる登山靴である。きつく閉めた時に足の甲に紐が食い込むよう靴はよくない。靴紐のひっぱると、~ぐいい~っと横からキュッと締まり、靴紐のたるみが一切無く、ピーンと紐のテンションが均等に張る靴が理想である。ぼくが知る限り、そんな登山靴を作れるメーカーは世界に2社しかない。登山の第一歩は登山靴の快適性が絶対条件である。だから弊店では、快適な登山靴を保証している。ぴったりフィットの登山靴を正しく履いて、多くの方が快適に山登りをお楽しみいただけるように~。ぼくのお仕事は、地道につづく。



7月15日 ()
梅雨があけた? 梅雨前線まだあるやん?

「梅雨あけたね~。」と何人かのお客さんが言う。「えっ?」ぼくの頬の気象センサーが狂ったのか、今朝の上空の高層雲がおかしいのか?まだ梅雨は明けていない。お店のパソコンでインターネットの気象サイトから天気図を確認する。22日までの予想天気図にははっきりと、梅雨前線が本州に横たわっているではないか。今後、本州を中心に次々と低気圧や前線が通過する。これこそ梅雨前線ではないか。この気圧配置では、それ以降も梅雨のジメジメした天気がつづき、梅雨の末期に見られる局地的な豪雨と雷が数日つづき、おまけに太平洋高気圧の勢力が強くなると、南の海上に台風が現れ、日本列島に接近する。その台風は、気圧配置を夏に切り替えて去っていき、梅雨前線は、大陸へと消えていく。そこではじめて梅雨が明けるのである。連休が終われば、再び梅雨入り宣言するのだろうか?

北アルプス・白馬大雪渓でも、数日前、中小規模の崩落が新たに数箇所で確認されている。あいかわらず、行政は「安全に問題ない。」と強調している?

山は、もうじき最盛期を迎える。3連休のお天気は気になるところだけど、安全管理は自己の責任である。

白馬大雪渓、針ノ木雪渓の落石や崩落、午後の落雷、転落滑落。今あなたは、安全なのか、危険なのか、次にどう行動するべきか、その時、あなたが判断するしかない。 そのためには、自然と対話する。状況を観察する。五感を働かせる。

その答えは、BCマウンテンスクールの登山教室に参加すると見つけられるだろう。



7月14日 ()
今日は、東京出張のため、あさ7時33分の特急スーパーあずさ号に乗って、新宿にむかった。列車内販売を利用して、サンドイッチと珈琲でモーニング。今回の出張でもガーミンの最新GPS オレゴン300を持っていった。列車内でも窓際に本機を置き、軌跡を記録する。あとは、本を読みながら、列車の旅を楽しむ。特急スーパーあずさ号は定刻どおり新宿駅に到着。山手線に乗り換え、今日の目的である浜松町の産業貿易センタービルの4Fで開催されているモンベル社の展示会場に向かう。会場入りし、担当のOさんにお会いし、さっそく、これからモンベル社とBC穂高がコラボレーション事業を展開していくための最終打ち合わせをはじめる。会長の辰野さんに軽くご挨拶し、まずは広報部、モンベルアウトドアチャレンジ事務局、営業のOさんと順番に、最終的な打ち合わせをすませ、あっという間に5時の終了時間になった。

BC穂高では、10月1日を目標に、まずはモンベル社のポスレジを導入し同社とのオンラインで稼動させる。それと同時にバックカントリー&モンベルクラブカードをオリジナルデザインで発行する。現在のBC CLUB会員さまには、BC&モンベルのダブルネームカードにバージョンアップすることで、全国規模のモンベルフレンドリーショップでのサービス特典を受けることができるようになる。また、BC穂高でも今後企画する登山教室やセーフティーセミナーもモンベルアウトドアチャレンジとコラボレーションして、全国のモンベルショップで申し込みが可能になり、会報誌で年間4回モンベルクラブ会員さまに案内される。BC穂高でも会員さまへ、さらなるサービスの向上に努め、既存のモンベルクラブ会員さまへ弊店からのサービスをご提供できるようにしていきたい。BC穂高は、モンベル正規代理店として、外商部を担う役割も重要である。山小屋その他販売エリア拡大を目指していく。ぼくは、BC穂高が、モンベル社の巨大なチームネットワークの一員として、アウトドアスポーツの夢と冒険と感動の未来へ携わっていけることは、誇りであり、光栄であり、ワクワクしている。




7月13日 ()
丸太の師匠から、熊が2頭彫りこまれた看板が届き、さっそ玄関先の両側にとりつけた。熊の彫り物はリアルだけど、表情はやさしく絶妙に迫力もあり、しかし、かわいい。4才の茜空(あかね)にも見せると「熊さん、かわいい~。」と言いいながら、鼻をナデナデしていた。熊の出没で、お店の表情も変わった。







7月11日 ()~ 12日 ()
●みんな元気 登山教室 北アルプス・常念岳 2日間
参加者/大人4名 リーダー/太田


先週にひきつづき、今週末も登山教室である。今回は、常念岳を1泊2日で楽しむため、4名の参加者が集まった。朝6時、ボコボコのランクルカップルさんと、大学ワンゲル部のようなのりで、一ノ沢登山口から歩き始めた。いつものように歩きはじめは特にゆっくり、リラックスして歩く。今日は、ぼくは、ガーミンの最新GPS「OREGON300」のデモ機をお店から持ち出してきた。さっそく、登山口から軌跡を記録する。省電力モードでは、軌跡をとりながら画面表示も消すことができ、電池の持ちもいい。しかし、今回ぼくはテストも兼ねているため、画面の確認や衛星電波の受信状況を確認し、頻繁に操作をしたため、約8時間ほどで、電池残量がわずかになり、電池交換をした。

一ノ沢登山口を出発した一行は、順調に沢沿いの登山道を歩き、途中少しだけ雪渓も歩き、胸突き八丁を越え、予定通り、お昼前に常念乗越に建つ山小屋までたどり着いた。ひとまず宿泊の受付をすませ、山小屋でゆっくりランチタイム。12時30分ごろ、常念岳山頂にむけて出発した。天候も安定し、夕立の心配も無く、ゆっくり常念岳の山頂を目指し、岩がゴロゴロした山頂付近で、雷鳥と出会い、全員無事に登頂した。山頂はしばらく貸切で、景色もすばらしかった。下山もゆっくり楽しみ、16時すぎに、山小屋へ戻ってきた。喉は朝からほどよく渇かして、ぼくはこの瞬間を待っていた。山小屋に入ると、一直線に売店に向かいスタッフの方に
「生ビールあります?」
と尋ねると
「すみません、今年はまだあげていないんです~。」
ちょっとショックではあるが、ぼくは、気を取り直し
「じゃあ、缶ビール1本ください。 」
と注文すると
「すみません売り切れました~。」
ぼくは、しばらくショックで呆然とした。

翌朝、5時20分に起床。7時に出発準備を整え、外にでた。雲は高く、空気は澄み渡り、槍穂高連峰が一望できる。 おまけに、槍ヶ岳から穂高を縦走するように、大空に大きな虹がかかり、大絶景である。山は、出発前のぼくたちに、ひとときの感動をくれた。下山をはじめるとき、虹にむかい「ありがとう」と思わず口にした。











7月10日 ()
明日から2日間、ぼくは、登山教室のため留守をする。おけいちゃんは2日間、船窪小屋のボッカ隊長。週末のお店は、久々に富山さんにお任せする。ぼくが留守の時にかぎって「週末お店に行きま~す。」というお客さまが多かったりする。でも、ぼくには関係ない。ぼくは、山でお仕事なのだ。


7月9日 ()
ここ数日、靴底の剥がれかけた登山靴をご持参で、ご相談に来られる方が続いている。パックリと開いた靴底や、つま先だけ浮いているような靴、ウレタンが劣化してスポンジのようにボロボロ剥がれ落ちる靴など、補修用ボンドでリペア可能なモノから、寿命のものまでさまざまだ。今日、ご婦人のTさんが、シリオの登山靴をご持参された。ソールのラバーとウレタンの付け根が浮いていて、剥がれかけていた。ウレタン部分を指の爪で引っかくように、状況を確認すると、ウレタンは、ボロボロと剥がれてくる状態だった。

「これは、張り替えるか、買い換えるしかありません。」

と、ぼくはTさんにはっきり告げる。

こういう場合、ぼくは、医者が患者さんに病名を告げる「あれ」である。状況は、早めに明確に患者さんに告げたほうがいい。患者さんにとって残酷な場合でも、事態を真正面から受け止めて、現実に向き合う時間は、早いほうがいい。そのとき、下手な期待を持たせる言動は不要である。
病名は「ウレタンの加水分解による経年劣化が原因で、今にも剥がれそうなボロボロ剥離症候群」と診断された。事態は深刻である。このまま使用すると、山中で、確実に剥がれ落ち、歩行不能になる。こういった場合、整形外科(メーカーの職人さん)による3週間の大手術で、古いソールをいったん剥がして、患部を洗浄し、新しい人工ビブラムソールを貼り付ける方法か、買い換えるしかない。

Tさんは、少しショックを受けながら、登山靴棚に乗っている登山靴を物色しはじめた。Tさんは、張り替えるよりも買い換える方を選ばれたようだ。実は、Tさんは19日に有明山神社が毎年企画されている有明山登山にご参加されるご予定なのである。張り替える時間はない。ぼくは、Tさんの足をゲージで測定する。Tさんの足は、幅広でシリオの3E+が妥当である。お持ちいただいた登山靴もシリオの3E+だけど、長さのサイズが0.5cm大きかった。Tさんも、ブカブカだと言っている。シリオのヌバックでサイズは24.0cmの3E+でぴったりフィットである。Tさんは、翌日登山靴を購入されることに決定した。



7月8日 ()
夕方、倶楽部の広報担当部長、ゆうじんさんが来店され、今日のミーティングの前に、ゆうじんさんが作成した倶楽部員募集パンフレットの確認作業をした。なかなか良いできばえである。

バックカントリーマウンテン倶楽部は、今年の4月に誕生した。初年度部員は15名でスタートした。スタート当初は、ミーティングの議題が、組織作り中心だった。ぼくは、倶楽部の言いだしっぺとして、代表を名乗り、コンパス(方位磁石)を持って進むべき方向と、航海図を示した。ぼくは、今までいろいろな団体や倶楽部、会社組織を見てきた。その中には、必ずといっていいほど、軍隊教育のなごりである人の足を引っ張る規則やルールが存在した。そこには、自己の能力とは別に、上下関係が存在し、能力の無い人ほど威張っていた。部下や後輩は、上司や先輩よりも、好きなことができないことを、良しとしている人たちがいるのである。だから、組織は保守的になり、活気が無くなり魅力が薄れ、いづれ衰退する。

ぼくは、そんな倶楽部にならないように、規則やルールを作らない提案をした。主軸となる思想は、みんな立派な社会人だから、世の中のルールや法律と自己責任を守ってさえいれば、倶楽部には最低限の事務や会計規則しか必要ない。というものである。いつ、だれが、どこで、何をしようが、自由なのである。誰も管理しないし、監視しない。それでも団体としての活動が円滑にできることは、一人前の大人の集団として、あたりまえのことである。すごい人はすごいし、向上している人にはオーラがある。知的な人は尊敬され、みんな目を輝かせている。誰かが失敗してもそこに学ぶところが必ずある。組織のネガティブな上下関係や義務、権力というものに学ぶところは何も無い。あるのはゴミの塊だけである。

その一つとして、登山計画書を倶楽部に届ける義務を放棄した。しかし、一般的な登山届けや計画書を作成し、身内や警察、登山届け受け入れポストに提出することは、地域のルールやマナーは尊重しなければならない。Case By Case 自己の責任感と判断にゆだねた。

倶楽部には、小さな班を設け、クラブ員は、3人以上集まれば、新しい班を作ることができる。倶楽部の中に小さな組織をつくり、それぞれがクラブ活動として、自由に活動ができるようにした。別に山に登るだけが人生ではない。山が好きな人が集まって、自転車でツーリングしても素敵な活動である。カヌーで無人島を旅することも魅力的である。ぼくは、探検&冒険部を作りたい。みんなそれぞれ、目指す所が違ってあたりまえ。全員が同じことをしなければならない義務は、小中学校の義務教育で、ぼくたちは遠い昔に卒業したのだ。

倶楽部には現在、登山部を中心に、競技部、自然観察部、スキー部、クライミング部(仮)、女子部(仮)という感じの班があり、それぞれ、班の班長を中心に組織されている。クラブ員は、どの班でも自由に複数の班にも所属することが可能で、活動に参加することができる。

今のところ、倶楽部はうまくいっている。大切なのは、全員がリラックスできる環境を築くことである。これから、クラブ員が増えれば増えるほど、もっと楽しくなるだろう。いろんな自立した人が集まり、いろんな知識や技術、考え方を持った人が集まるためである。今後、倶楽部活動のキャパもどんどん広がって行くだろう。団体が巨大になっても、今のスタイルを守れば、ストレスの無い団体を維持できる確信はある。近年の山岳会は衰退している。ということをよく耳にする。バックカントリーマウンテン倶楽部は、これからの新しい組織作りのかたちとして、魅力的な倶楽部になるだろう。

時期(9月20日締め切り)新倶楽部員募集は、10名程度の予定である。ご希望の方は、お早めにお問い合わせください。



7月7日 ()
この時期、山には蚋が多く、歩いていても、休憩していても顔の周りにたかってくる。先日の教室で燕岳に行った時も、蚋が容赦なく襲って来た。あいにく噛まれた人はいなかったが、ぼくは、ハッカ油を持ってこなかったことを後悔した。昨年は、蚋のような虫が異常発生して、目にも、耳にも、口の中にまで飛び込んでくるほどだった。山で遭遇するスズメ蜂や蚋の大群は、不快で恐ろしい存在である。夏山には、防虫ネット、虫除けにハッカ油、虫刺されにポイズンリムーバなどの虫対策も快適登山の必需品である。とくに雨がパラパラ降る蒸し暑い梅雨時は危険。

梅雨のジメジメした不安定なお天気が続いている。今日も、雨が降ったり止んだり、パッとしないお天気だ。山岳地域では梅雨に入っても雨が少なく、気温が低かったため、今現在、例年より残雪が多く残っているようだ。今日は1日蒸し暑かった。ようやく前線が上昇してきたのだろう。これから梅雨末期に入るため、梅雨前線が本格的に大暴れする。稜線での雷も要注意だが、これから地盤が緩むため、土砂崩れや崩落なども注意が必要だ。
梅雨の末期は、一年でも自然災害が多発する危険な時期である。皆さん、梅雨が明けるまで、おとなしくまとう。



7月6日 ()
いよいよ、ガーミンの最新GPS、OREGON300のデモ機をセットアップした。コロラドのデモ同様にTOPO10Mを転送し、初期設定をしながら、いろいろ機能を確認する。マップの表示や検索に関する機能は、TOPOのマップソースに組み込まれているためコロラドとは変わらない。操作をしていてコロラドと大きく違うところは、メニューから別の機能を呼び出す時に、選択方式で、どんどんボタンが現れて、画面をタッチするだけで表示が変わっていくところだ。

OREGONとColoradoは基本的な機能は変わらない。ただ、若干のメリット、デメリットがあり「どちらが良いか?」と聞かれると、バッテリーの寿命が長いことだけでOREGONに少し軍配が上がる程度である。しかし、Coloradoにも、OREGONと比べると軍配があがる所も何箇所かある。どちらも、魅力は、ほぼ互角といっていい。どちらにしても「失敗することはない」ことは確かである。ぼくも、もう少し、両方のデモ機を使ってみて、お互いの比較対照をはっきりさせて、店頭では、購入のポイントをご説明していかなければならない。



7月4日 ()~ 5日 ()
●みんな元気 登山教室 北アルプス・燕岳 2日間
参加者/大人4名 小2年1名 リーダー/太田


BC登山教室隊は、6時に中房登山口を出発。今回から、BC登山教室は、家族登山を応援するため、小学生以上の子供さんにもご参加いただけるようにした。やっぱり、登山も家族みんなで元気に楽しむほうがいいに決まってる。

今日は、小2のAちゃんがお父さんと参加された。ぼくの使命は、登山教室に参加される方全員が、リラックスして、山登りを楽しんでいただくこと。また、教室中に、何か身に付けていただいたり、山を楽しむコツをつかんでいただければ大成功である。

第1ベンチの水場でおいしい天然水を飲み、第2、第3、富士見と順調に進み、合戦小屋で名物の甘いスイカを食べ、みずみずしく燕山荘に向かう。燕山荘にはお昼前に到着。山荘で、昼食をとり、午後1時に山頂にむけて出発した。燕岳は、北アルプスの中でも、穏やかで美しい山のひとつである。大人も子供も、この景色を見て退屈することはない。また、岩のオブジェも楽しめる、雲の上の楽園である。

2時半ごろ、燕山荘にもどり、今日の行動は終了。燕山荘では、居心地のいいカフェでケーキセットや生ビールで夕食までの時間を楽しんだ。

翌朝、3時30分に起床。4時に玄関前に集合し、まだ暗い縦走路を歩き始めた。空には、雲が広がり、スターライト&サンライズトレッキングには、ならなかったけど、ゲイロ岩を往復し、1時間ほどの清々しい朝食前の良い運動になった。朝食後もしばらく燕山荘でまったりして、9時に下山を始めた。Aちゃんも他の皆さんも、中房へ下山するまで、ずっと笑顔で楽しそうだったので、ぼくの魔法は成功した。











7月3日 ()
「はじめて山に登るんです。」という方が、毎日のように弊店にご来店される。そんなお客さまの中で、はじめての登山に常念岳や燕岳、蝶ヶ岳をお考えの地元の若い方(ぼくより若いという意味)が最近多く、ご相談をお受けしていてぼくも真剣であり、それなりに楽しんでいる。ぼくが登山ショップの一スタッフとして、若い方を含め、これから山登りを始めようという方にアドバイスをするときに、気をつけているのは、わかりやすく必要な情報を伝えること。情報は伝えるけど、押し付けたり、常識を振り翳したりしないこと。判断するのは本人であり、山はオールウエルカムというのがぼくの考え方の軸となっている。極端に言えば、手ぶらで山に登ってもいいし、夜の山歩きも楽しい。ただ、ぼくの役目は、これから山登りをはじめていく過程で、何かの判断に迷った時に、ぼくのアドバイスや情報を思い出して、失敗を最小限に抑えることができればそれでいい。危険なこと、痛いこと、怖いこと、寒いこと、辛いことなどは、自分で経験しないとわからないものだ。世の中には、安全第一という言葉がある。何も経験しないうちから安全第一だけを優先すると、チャレンジや冒険なんてできるわけがない。だからといって、無謀なことが優先されるわけでもない。しかし、山でも何でも始めてのチャレンジは、冒険であり、あとで考えると「無謀だったなぁ。」と感じることもたくさんある。でも、そんな経験を積み重ねて、はじめて人間は成長していくものなのだ。

登山を始めることを決めたら、まず、BC穂高に来て、ぼくにいろいろ質問してほしい。ぼくからできるかぎりのことを、聞き出して迷った時の、判断材料として頭に加えてもらえるといい。それでも、判断に迷った時は、その場の状況から、あなたが判断すべきである。



7月2日 ()
日本列島はじめじめした梅雨に入った。雨の登山には、レインウエアが必要である。何もレインウエアの宣伝をするつもりもない。むしろその逆である。レインウエアに使われている素材は、ゴアテックスと呼ばれている透湿防水素材が代表的である。ぼくが専門的にガイドをしている北アルプスでは、実際のデータを知らないが、登山者の90%以上の方がゴアテックス素材のレインスーツを着ているようだ。あちこち回りはほとんどゴアテックスだらけである。

山岳地域を歩く登山では、昔からレインウエアの携帯が必修条件とされている。当然ではあるが、BC穂高でも、登山ショップとして販売している必修商品である。弊店では、ゴアテックス素材のレインスーツが在庫の100%を占めている。それは、ゴアテックス素材が他の素材に比べ優れた素材だからである。しかし、優れたゴアテックス素材も、使用年数とともに撥水効果の低下から、透湿性能も落ちていく。雨水を水滴にするための撥水性能が低下すると、雨水は、ワックス切れの車のように、ベターと水のまくが一面を覆うようになり、水のまくにより水蒸気が外に抜けにくくなるからである。ゴアテックス雨具は、破れない限り、水漏れの心配は無い。しかし、撥水性能の低下により、透湿性能は低下する。透湿性能が低下した雨具は、汗が外に出ていきにくくなり、結果的に、自分の汗や温度差による結露のため、雨具の内側が濡れる現象がおこるのだ。

ここで、忘れていけないことがある。人の体は、水に濡れたからといってすぐに死ぬわけではないということ。人は、風呂にも入れば、海水浴もする。顔も洗えば、手も洗う。体が水に濡れて動けなくなる人はいないのだ。レインウエアを着る本当の目的は、体温を下げないことである。雨によって体が濡れて、体温を奪われることが危険なのである。たとえば、暑いからと行って、雨の中、レインウエアの下に半そでのTシャツ一枚で歩いていると、体はどんどん冷えていく。レインウエアの内側に着いた水滴に体温を奪われてしまうからだ。汗をかいても、水に濡れても体には、なんら生命にも影響は無い。 少々不快なだけである。体温が奪われ、体温が下がるから、人は生命の危機に直面する。多少衣類が汗で濡れても体温を下げない方法は、雨具の中に服を着込むことしかない。多くの方が汗をかくからといって雨具の中を薄着にして歩いている。それは間違いである。濡れても体温を奪われにくいウエアを着るべきである。とくに梅雨時の雨は、前線が下がると気温が下がり、冷たい雨が降る。そんな時は、思い切って薄いフリースやウールのアンダーなど着込む方法がある。今お使いのレインウエアの撥水性能の低下や対応年数を気にして、何も買い換える必要はない。それよりも、雨の中、体温を奪われないために、レインウエアの中に何を着るか考えるべきである。レインウエアの中に着るアンダーや中間着、フリース、撥水ウインドブレーカーなど。古いレインウエアでも体を冷やさず快適に歩ける方法がいくつもある。雨の登山は、体温を奪われないように工夫しよう。



7月1日 ()
モンチュラは、イタリアの小さなブランドで、ヨーロッパアルプスで着るウエアというテーマでウエアを生産している。モンチュラのこだわりは、ヨーロッパアルプスで着るウエアを創ること。こだわりと目的がはっきりしている。だから、イタリア、スイス、オーストリア、フランスなどアルプスを抱いたヨーロッパ各国でよく見かけるブランドのひとつである。日本でもアルプスで着るブランドとして、クオリティーとブランドを重視する少数派の人に人気があり、この夏(09SS)から、BC穂高でも、本格的に扱いをはじめた。モンチュラの担当の方いわく、現在、甲信越地方では、BC穂高が取扱いアイテム数が一番多いということ。それだけ、販売されているお店は少ない希少なブランドということである。ぼくは、昨年からテストのため、アウター、アンダー、パンツなど、モンチュラを使用している。いちど身に付けると、その快適さと、着ている感覚のない着心地のよさに、だれでもが虜になってしまう。ぼくもその1人だ。

今朝もあさから雨。午前中に、ユキちゃんと先生が来店された。ユキちゃんは、この春からモンチュラを試されて、その着心地と、機能性、ファッションセンスを気に入られて、大ファンになられたおひとり。ユキちゃんが語るモンチュラのTシャツは、いいとこだらけ。弊店のモンチュラ担当販売部長に任命したいほどにその熱意が伝わってくる。そんなユキちゃんのことを、見て、聞かされている先生も、今朝はモンチュラに興味を示されているご様子だった。先生は、慎重派のため、じっくりアンダーなどいろいろご覧になり、まず手始めにモンチュラのウインドブレーカーを選ばれた。先生も虜になるだろうか?次回ご来店されたときが楽しみだ。